クレジットカード債権はファクタリングできる!メリット・デメリットや向いている業界について
2021/10/15
ファクタリング
クレジットカード債権を抱えている店舗やECサイトの運営者の中には、クレジットカード会社からの入金サイクルが長くて不満を持っている人もいるでしょう。入金に時間がかかると資金繰りに苦労するケースもめずらしくありません。こうした場合に利用できるのがファクタリングです。
本記事では、クレジットカード債権のファクタリングについて解説します。クレジットカードのファクタリングに関する概要やメリット・デメリット、利用する方法を確認し、事業に役立てましょう。
なお、本記事の情報は2021年9月時点での情報になります。最新の情報は各サービスサイトをご確認ください。
クレジットカード債権もファクタリングが可能
ファクタリングはクレジットカード債権にも対応しています。クレジットカード債権とは、店舗やECサイトなどがクレジットカード会社に売上金の支払いを求めることができる権利のことです。
お客様がお店などでクレジットカード決済する場合、本来その場で代金を支払わなくてはいけないお客様に変わってクレジットカード会社が立て替えます。このときクレジットカード払いに対応した店舗や業者は、クレジットカード会社に対してクレジットカード債権がある状態になります。
このクレジットカード債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、売上金を手に入れられるのがファクタリングの仕組みです。
クレジットカード債権のファクタリングの特徴
クレジットカード債権は、与信度が高いという特徴があります。なぜなら、クレジットカードの決済代行会社の貸し倒れリスクは低いとされているからです。
ファクタリングは売掛債権などで利用するケースが多いですが、売掛先などによっては与信度が低いと判断されてファクタリング会社が買い取ってくれないことがあります。
その点、クレジットカード債権のファクタリングは与信度が高いため、スムーズに買い取ってくれる可能性が高いと考えられます。
利用が向いている業界とは
ファクタリングが向いている業界として、決済の多くをクレジットカードで行うECサイト業界が挙げられます。
ECサイトは広告費や人件費などで経費がかかっているにもかかわらず、売り上げの入金サイクルが遅い特徴があります。ビジネスが軌道にのるまでは、運営資金の確保が厳しいと感じるケースも多いでしょう。こうした場合にファクタリングは、有効な手段となります。
もちろん、小売業や飲食業などでクレジットカードの支払いが多い場合にもファクタリングの利用がおすすめです。キャッシュの回転率を上げたいと考えている企業に最適といえるでしょう。
クレジットカード債権をファクタリングするメリット
クレジットカード債権のファクタリングを利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。デメリットと比較しながら見ていきましょう。
支払いサイクルが早くなる
ファクタリングのメリットは、売上金の支払いサイクルが早くなるということです。
クレジットカード会社と契約している場合、月末締めで翌月末や翌々月末払いなどとなっていることが多いでしょう。しかし店舗やECサイトの運営が軌道にのる前だと、キャッシュフローの悪化を引き起こすこともあります。
こうした場合にファクタリングを利用すれば、支払いサイクルを短くすることが可能です。ファクタリング会社により状況は異なるものの、申し込んでから審査を受けて売上が入金されるまでにかかる期間は5日ほどです。
クレジットカード債権をファクタリングするデメリット
クレジットカード債権のファクタリングについては、メリットばかりではありません。デメリットについてもよく理解してからの利用をおすすめします。
ファクタリングには手数料がかかる
ファクタリングには手数料が必要なことが、大きなデメリットです。ファクタリングを利用した場合、手数料として10~15%前後が売上から引かれることになります。クレジットカードの加盟店手数料が4~5%かかることを考えると、ファクタリングを利用して入金サイクルを早めると手数料の負担が大きくなる可能性が高いでしょう。
例えば売上が100万円、クレジットカードの手数料が4%、ファクタリングの手数料が15%として計算してみます。クレジットカードの手数料は4万円、ファクタリングの手数料は15万円になります。つまり合計19万円が売上の100万円から引かれるのです。
手数料負担をできるだけ少なく抑えるためにも、どのような場合にクレジットカード債権のファクタリングを利用するかあらかじめルールを決めておくことが大切です。
手数料を抑えてファクタリングをするなら「3社間」がおすすめ
手数料がかかるのがファクタリング利用のデメリットですが、その手数料を低く抑える方法もあります。それが3社間ファクタリングです。
一般的に多いケースは2社間ファクタリングです。2社間ファクタリングとはこの場合、債権者である店舗やECサイトの運営者と、ファクタリング会社の間で取り交わされます。クレジットカード債権のファクタリングは他の債権に比べると手数料が少な目には設定されているものの、やはり負担は小さいとはいえません。
ところが、3社間ファクタリングにすると手数料が低くなりやすいのです。3社間ファクタリングの場合、債権者、債務者であるクレジットカード会社、ファクタリング会社との間で取り交わされます。
クレジットカードを発行している会社は、上述のように一般的によく名の知れた会社が多いため信用があります。ファクタリング会社としても回収し損ねる心配が少ないため、手数料を安くする傾向があるのです。
3社間ファクタリングを成立させるにはクレジットカード会社への事前連絡が必要となりますが、手数料を安くするためにはおすすめです。
カードの支払いサイクルが短いとメリットを感じにくい
本来よりも資金を調達できるタイミングを早められるのが、ファクタリングの最大のメリットです。そのためもともとのクレジットカード債権の支払いサイクルが短い場合には、ファクタリングを利用してもあまりメリットを感じられないでしょう。
事実、入金サイクルを早くしたいという店舗やECサイトの運営者に向け、現在、早期振り込みサービスを実施している代行会社も出てきています。例えば楽天ペイの場合、入金先を楽天銀行に指定すると、23時50分までの売り上げであれば翌日に入金されます。
ファクタリングを利用すると手数料をとられる分、金銭的な負担が大きくなります。そのため常に入金サイクルに困っている場合は、早期振り込みがあるサービスをメインで利用するのも1つの方法といえるでしょう。
利用範囲が限定的
ファクタリングは融資ではないため、売掛債権がないと資金の調達はできません。あくまでも売上債権の入金サイクルを早めるための方法だと認識しておくことが大切です。
また債権額を上回る利用はできません。ファクタリング会社によっては買取金額を400万円程度に設定していることもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
クレジットカード債権をファクタリングする際の注意点
可能性は高いものの、必ずしもクレジットカード債権をファクタリング会社が買い取ってくれる可能性があるわけではありません。ファクタリングをする際に制約がある場合もあるため、この章で注意点を押さえておきましょう。
債権譲渡禁止条項の確認が必要
債権譲渡禁止条項とは、その名のとおり、契約書などで債権の譲渡を禁止するものです。債権譲渡禁止条項が設定されていると、3社間ファクタリングが利用できない可能性があるため注意しなければいけません。
条項を無視してファクタリングを利用すると、加盟店契約を解除される恐れがあるのであらかじめ確認しておきましょう。
クレジットカード債権に対応する会社が少ない
クレジットカードのファクタリングを取り扱っている会社自体が少ないという点も注意が必要です。売掛債権などのファクタリングに対応していても、クレジットカード会社とのトラブルは避けたいと考えて扱うことを避ける傾向があります。
そうなると、選べるファクタリング会社が少なく、結果として条件面を比較検討できないまま利用しなければいけないケースがあるかもしれません。
まとめ
クレジットカード債権も売掛債権と同様に、ファクタリング会社に買い取ってもらえます。またクレジットカードの決済代行会社は貸し倒れリスクが低いとされているため、ファクタリングを利用しやすいのも特徴です。
ただし、ファクタリングを利用すると手数料がかかります。コストを抑えるためにも、使いどころを見極めることが大切です。債権譲渡禁止条項の確認も忘れずに行いましょう。
クレジットカード債権よりもファクタリングの方が支払いサイクルが短いため、資金繰りに困っている場合は利用を検討してみてください。